illegal yard Issues 不法ヤードの見分け方
不法ヤード問題とは
近年、千葉県などを中心に、自動車の解体や金属スクラップの保管を行う「ヤード」の一部が、法的な許可を得ずに操業する「不法ヤード」として深刻な社会問題となっています。これらのヤードは、高い鉄板で囲まれ外部から内部の様子を窺い知ることが難しく、地域社会に様々な悪影響を及ぼしています。
特に外国人経営者によるものが問題視されるケースも多く、盗難車の解体・不正輸出の拠点となるなど、犯罪の温床となっている実態も指摘されています。
具体的な問題点
騒音・環境汚染
不法ヤードでは、防音対策がほとんど施されていないため、重機による自動車の解体作業や大型トラックの出入りが昼夜を問わず行われ、周辺住民は激しい騒音や振動に悩まされています。
また、解体過程で生じるエンジンオイルや廃油、フロンガスなどが適切に処理されず、土壌や地下水へ流出する環境汚染のリスクも極めて高い状態です。実際に油汚染や、金属スクラップの不適切な保管による火災発生も報告されています。
違法な積載と運搬
解体された自動車部品やスクラップを運搬する際に、荷台から大きくはみ出すなどの過積載(違法積載)が常態化しているケースも少なくありません。これは道路交通法違反であると同時に、落下物による交通事故の原因となり、非常に危険です。
自動車リサイクル法違反と自動車窃盗
自動車を解体するには、自動車リサイクル法に基づき、都道府県知事の許可が必要です。しかし、不法ヤードの多くは無許可で操業しており、これが法律違反の温床となっています。
さらに深刻なのは、これらのヤードが自動車窃盗団の受け皿となっている点です。盗難された自動車が不法ヤードに持ち込まれ、即座に解体されて部品として不正に輸出されることで、盗難の証拠が隠滅されてしまいます。
警察・行政による対策の強化
千葉県の「ヤード条例」
こうした事態に対応するため、千葉県は全国に先駆けて「千葉県特定再生資源屋外保管業の規制に関する条例(通称:ヤード条例)」を制定し、令和6年4月1日から施行しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 許可制の導入 | ヤードの営業に知事の許可を義務化。既存業者にも経過措置期間後の許可取得を要求。 |
| 具体的な規制 | スクラップの保管高さの制限、油の流出を防ぐ排水溝や油水分離槽の設置義務化など。 |
| 罰則 | 条例違反者には、最高で1年以下の懲役または100万円以下の罰金を科す。 |
この条例は、これまで法の抜け穴とされていた有価物(廃棄物ではない金属スクラップ)の保管も規制対象に含めた画期的なもので、不法ヤード問題解決の切り札として期待されています。
こうした条例は、全国に制定の動きがひろがっていますが、福岡県ではまだ制定されていません。 金属スクラップヤード規制警察による取り締まり
各都道府県警は、不法ヤードに対する取り締まりを強化しています。定期的な立ち入り調査を行い、盗難自動車の保管、無許可解体、不法就労などの違法行為を摘発しています。ヤード条例の施行により、警察官の立ち入り権限が強化され、より実効性のある取り締まりが可能になっています。
不法ヤードの見分け方と通報のポイント
不審なヤードを早期に発見し、行政や警察に通報することが問題解決の鍵となります。
千葉県警などでは、自動車ヤード総合対策として、盗難自動車の保管、使用済自動車の無許可解体や不法滞在外国人の稼働等の違法行為を認知した場合には、各種法令を適用した取締りを実施しており、市民からの不法ヤード情報提供を求めています。千葉県警:犯罪捜査にご協力を 求む!不法ヤード情報

- 深夜や早朝にもかかわらず、金属を叩き潰すような大きな作業音が聞こえる。
→自動車リサイクル許可業者は、許可にあたって営業時間を届出ています。 - 会社の看板がなく、営業実態が不明。
→自動車リサイクル業の許可事業者には標識の掲示が義務付けられていますので、そうした標識の有無も確認のポイントです。

※この標識は一例です。都道府県や許可内容によりレイアウトなどが異なります - 敷地内外に、解体された自動車の部品やナンバープレートが乱雑に放置されている。
→自動車リサイクル許可業者は、部品の保管場所、保管方法について厳格なルールを遵守しています。 - 荷台から部品をはみ出させたトラックが頻繁に出入りしている。
→自動車リサイクル業者は、積載などの方法も標準作業としてマニュアル化し違反のないように努めています
これらの特徴に気づいたら、ためらわずに最寄りの保健所の環境部門、警察署や市町村役場の担当課に情報を提供してください。匿名での通報も可能です。土地所有者も、安易に土地を貸し出すのではなく、使用目的を厳格に確認することが求められます。
なお、自動車リサイクル法の許可を受けている業者は、自動車リサイクル法関連事業者一覧から検索できます。一定の時点の情報ですが当HP内の自動車リサイクル法業者マップでも確認できます。